
自分にはどんな職業が適しているんだろう?
夢をかなえるために、どう行動すればいいかわからない……
自分の将来像を模索する若者たちがいます。
その一方で、若者の地域離れに悩んでいる町や村があります。
情報化社会とはいえ、就労情報も人材も依然として都会に集中しがち。そんな中で地域発の情報発信の大切さが注目されています。
若者の自立と挑戦を身近で支え、さらには地元の活性化にもつなげていこうという地域発の就労支援について紹介します。
若者の自立・挑戦のためのアクションプラン
学校を卒業したら、社会人として職業生活を送る。
かつては当たり前に受け止められていた「卒業→就職」という流れが、近年変わりはじめています。就職してもすぐに辞めてしまう短期離職者や一生フリーターのまま過ごす人たち、そしてニートの問題。自分に合った働き方、生き方を模索する若者が増えています。
厚生労働省が発表した労働経済白書(平成17年版)によれば、「自分の能力を試す生き方がしたい」「経済的に豊かな生活を送りたい」と望む若年者は減少傾向にあり、「楽しい生活をしたい」という若年者が増加傾向にあります。その一方で、「人並み以上に働きたい」「若いうちは進んで苦労するぐらいの気持ちがなくてはならない」という考えも増加傾向。若者の就労意識の多様化は、こうしたデータからも読み取ることができます。

資料出所(財)社会経済生産性本部「新入社員「働くことの意識」調査報告書」(2004年)
(注)2004年結果の上位3項目の推移を示したもの。
そんな中、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、内閣府の4府省では「若者自立・挑戦戦略会議」を発足。平成16年12月、若者の自立心を養い、挑戦意欲をうながす施策 “若者の自立・挑戦のためのアクションプラン”をまとめました。
今年(平成18年)1月には同プランの改訂版を発表。「同年度内に25万人のフリーターを常用雇用化する」などの目標を掲げ、総計761億円(前年度比+5億円)の対策費をかけた国ぐるみの就労施策が動き出しています。
「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」の詳細はこちら! >>経済産業省HP

資料出所(財)社会経済生産性本部「新入社員「働くことの意識」調査報告書」(2004年)
(注)2004年結果の上位3項目の推移を示したもの。
情報提供から職業紹介までをワンストップで提供するジョブカフェ
国ぐるみの就労施策、その一環として誕生した事業に「若年者のためのワンストップセンター(通称:ジョブカフェ)」があります。名前を耳にしたこと、ありませんか?
“ジョブカフェ”とは、10〜30歳代前半の若年者を対象とした雇用関連サービスを無料で提供する施設。各都道府県が国からの援助を受けて設置しています。皆さんがお住まいの地域で、もう既に取り組まれているかもしれません。
ジョブカフェでは、情報収集から職業訓練・研修、そして就職あっせんまでのサービスを利用者がワンストップで受けられます。その名のとおりカフェのように明るく開放的な施設で、若者がカウンセリングを受けたり、仲間同士で情報交換できる場を提供するのがねらいです。
運営主体は地方自治体や民間団体など地域によって異なり、方向性や成果はさまざまですが、注目すべきは地域密着型の運営方法。民間事業者の協力を得るなどして地域ごとの創意工夫をこらし、若者の就労ニーズにきめ細かく対応している点でしょう。
たとえば、若者の地域離れが問題になっている土地であれば、U・Iターン就職につながる情報を積極的に提供する。「社会人に必要なマナーを今から身につけたい」という利用者からの声があれば、講師を招いてビジネスマナー講座を開くなど、地域事情や若者ニーズに合わせて、柔軟かつきめ細かいサービスメニューを提供しているのが特長です。中にはハローワーク(職業安定所)が併設されているところもあります。

※経済産業省・プレス発表資料より抜粋
地域の実情に合わせた多彩なメニューを提供している“ジョブカフェ”。その代表的な取り組みを紹介しましょう。興味のある人はぜひアクセスを。
職業人の道筋を示す「ジョブルートマップ」
道内企業5万社にアンケートを実施後、対象企業の中から訪問調査を行い職種ごとの情報などをまとめて、自立した職業人となるための具体的道筋を示すジョブルートマップを作成。
たとえば“パン・菓子業界で働きたい”という冊子では、一日の具体的な仕事の流れや、パン・菓子職人が活躍できるワークステージ、入職経路などについて解説。その職業を目指す人たちが、現場での働き方をイメージできるように構成されている。WEB版ジョブルートマップもあり上記HPで公開中。ジョブカフェをはじめとして、道内の高校・大学や公立図書館に設置、活用されている。
「あおもりツーリズムスタッフ育成セミナー」
青森県ならではの観光リーダーを育成するセミナーを開催。観光政策論やイベント論、ホスピタリティ、エコツーリズムなど多岐にわたるカリキュラムを用意し、自然豊かな青森県の地域特性に合わせた企画立案やサービス提供方法をレクチャー。セミナー終了後には、参加者に就職先として旅行代理店やホテルなど観光関連企業を紹介している。
若者の自主企画「CANWORK事業」
県内で働く社会人を若者が取材。養豚業、藍染職人といった多様な職業人に、働くことの楽しさや、やりがい、若者へのメッセージをインタビューし、仕事関連情報とともにHPから発信。いきいきと働く社会人の姿を伝えることを若者の目線でとらえ、明るく前向きなイメージを訴求した。この取り組みを通して、若者自身が自己の可能性の幅を広げる機会を提供している。
この他にも、企業と一体化した人材育成や、学生主導による就職勉強会実施など、個性豊かな取り組みが各地のジョブカフェで展開されています。
※参考:ジョブカフェサポートセンターとくに若者の地域離れが激しい土地では、後継者不足による地元産業の衰退や、町や村の過疎化といった切実な問題を抱えています。
各地のNPOや企業が中心となった積極的な取り組みを紹介します。
各専門分野で活躍するプロフェッショナルのノウハウやスキルを県民に提供。
「文部科学省eラーニング(注1)による人材育成支援事業」の平成17年度のモデル事業地域に選ばれ、『草の根e-ラーニング』(注2)を展開している。
高校生以上の若年未就職者を対象に就労について学ぶ機会を提供しており、自己分析力や職業・社会観、勤労意欲などの習得を目的とした“仕事選びの方法”コースと、経済社会や地域産業への理解を深め、経営的観点を身につける“経済社会の中で「働く」”コース、2つの学習内容が用意されている。
“子どもたちに夢と職業意識を運びたい” をテーマに、 小・中・高校生と社会 人との出会いの場を提供。
子どもたちの社会観や就労観を育成する活動を行っている。
「自分の夢発見プログラム」では、(1)自分を知る(2)世の中を知る(3)自立を考えるという三つのステップを
通し、仕事人の講演やワークショップを行っている。
子どもたちを主な対象とし、職業、就職、企業、経営などに関する情報を提供。国際派キャリアを目指す高校生以上の若者を対象とした「一日集中英語講座」や、小学校高学年から中学生が、現役新聞記者から新聞作成の過程や新聞の読み方を学び、自分だけの新聞を作成する「新聞記者なりきり講座」など、ユニークなプログラムを独自に展開している。
また、地元の商工会議所等との協働によるワークショップなども積極的に行っている。
I・Uターン就職を目指す若者をサポートする、地方新聞社の連動による取り組み。各新聞社のガイドキャンペーン登録者に対し、地元有力企業のガイドブック無料進呈や合同説明会情報の案内など、地域密着型の就職情報を提供。
小樽職人の会を母体とし、若者に職人への道をひらき、伝統工芸の後継者を育成している。現場(ガラス工房など)で親方がマンツーマンで技術を指導し、自立できる技が身についたら、親方から「のれん分け」されるしくみ。未来の職人を育てるため、子どもたちにモノづくりの楽しさを伝える体験学習なども行っている。
地域発の就労支援は、地元で働くことのメリットや大切さを知る機会にもなっているようです。実際に地元就職した若者によれば、慣れ親しんだ土地だからこそ精神的にゆとりをもって働けるとか。地元に貢献しているという満足感があり、通勤時間の短さや、おさななじみの友人にいつでも会えるのも大きな魅力だといいます。
地域が若者の就労を支えることで若者が自信をもって働く。地元産業の後継者が育成され、彼らの活躍によって地域がさらに活性化する。そして、こうした取り組みが、若者が抱いていた人生観や仕事観を変えるひとつのきっかけになるかもしれません。
地域密着型の就労支援は、若者と地域の双方にメリットをもたらす試みなのです。
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