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「13歳のハローワーク」の著書で、テレビやインターネットなどのメディアでも世の中に対してつねに興味深い情報を発信している作家の村上龍さん。また、2005年に公式サイトを開設以来、温かい目で見守っていただくとともに、さまざまなご意見をいただいています。今回、編集長・代田の退任および中学校長就任にあたり、特別対談を行いました。
いろんな仕事の依頼がありますが、小説を書くための時間が最優先
「カンブリア宮殿」が結構目立つからじゃないかと思うんですが。テレビだし、地上波なので。基本的に僕は、向こうから話が来て、断る理由がなかったらやるというスタンスなので、外から見ているとそう見えるかもしれません。ただ実際は、「半島を出よ」を書いたあとからなんですけど、逆に、僕の中で小説がいかに重要かっていうことを、日々確認しているような感じなんですよ。ですから、僕の仕事では、小説書く時間を確保するのが最優先です。小説書くのに必要な時間が短くなるということはあり得ないです。自分でそう意識してやっているわけではありませんが、誰にとっても平等にある時間を”資源”と考えると、その“資源”を最も小説に振り向けているし、小説のための時間が最優先だということです。
基本的には小説がメインなので、小説が必要とする情報のリソースというのが一番の興味分野です。ただ最近は、医療関係の友人が増えていることもあり、医療問題にも興味がありますね。
自分に向いているのかなと思ったら、やってみればいい
医療とか福祉にしても教育にしても、社会的な仕事だから誰かの役に立つとか、誰かのためにこうやって命を救うとか、そういった仕事ですからね。(質問を寄せているのは)社会的意識が高い人たちじゃないんですかね。
複雑で一口には言えないんですけど、今の子どもがお医者さんになる頃はだいぶよくなっているんじゃないですか。いろんな人が、何とかしなきゃと思い始めていますから。その点、医療に関して一番遅れているのはメディアですね。メディアがとらえられていない医療の問題を、医師の側も、それから政治家、官僚、法曹関係の人たちも、患者の側でさえも非常に意識的で、すごく突っ込んだ論議をしていますよ。ただ、それをメディアが伝えていないから、一般の人には分からないのです。医療は非常に危機的なんですけれども、何とかしなきゃというムーブメントはあるんですよね。それが一番大事で、何年後にどうなるかっていうことは分からないですけど、国民的な合意があるかがだいたいの問題で、何とかしなければという合意はあると思いますよ。
とりあえず何とかしなきゃと思わないと、誰も何もしないですからね。今のままではいけないと思う人がどれだけ増えるかというのが、問題を解決するための前提になるんじゃないですかね。ただ、子どもは、医療の現状とか、福祉の現状とかについて、あまり考えないほうがいいですよ。本当に自分に向いているのかなと思ったら、やってみればいいんじゃないですかね。
勉強というのは、ちょっと見大変だけれども、本当はすごく面白い
教育も、これ以上は悪くならないなんじゃないですかね。悪くなっているのかどうかも僕はよくわからないんですけど、例えば戦前よりはいいでしょう。だから、大きなスパンで見ると、教育はそんなに悪くなっているような気がしないんですよね。ただ、一つ言えるのは、中国みたいな国に比べると、勉強に対する意欲がやはり落ちているのかなという気がしますね。子どもの側から、なんで勉強しなきゃいけないんだという質問が出るというのは社会の敗北ですからね。勉強というのは、ちょっと見大変だけれども、本当はすごく面白くてね。知識が身についていく過程って、すごく、自分にとっても充実感があることで、かつ社会に出るときに、教育があるとすごく有利だ、みたいなアナウンスメントっていうのは、自然に刷り込まれるはずなんですよ。それがない国、それがないまま成熟しちゃった社会っていうのは、だめといえばだめなんですけど。ただ、戦前よりはいいですからね。
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