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回答・コメントする(No.11803)

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もっと教えて!フォーラム 質問 臨床心理士になりたいです。

[Q] 早速質問です。
私は、将来少年院などで臨床心理士として働きたいと思っています。
そのために今から出来ることはありますか?
また、心理学科の学習の内容を教えて下さい。
少しでもいいので、答えていただけたら嬉しいです。

[A.2]

臨床心理士のことがよくわかりました。
ハロワのおやじさんの話を聞いて、少しでも悩んでいる少年や少女を救いたいと強く思いました。
今から出来ることは少ないですが、強いハートと勇気を持つ人に成長出来るよう何事にも本気で取り組んでいこうと思います!
回答有難う御座いました!


[A.1]

私の少年院での経験をお話しします。


と言っても50歳半ばでの貴重な体験です。
少年院や刑務所など矯正施設を出所後、
仕事に就けない人たちの再犯率は五割を超えます。
7年前日本の安全安心な暮らし、そして治安維持のため法務省と厚生労働省が連携し、
少年院と刑務所そして保護観察処分対象者への就労支援業務が開始されました。

私がその一員として採用されたのです。
担当は東京近郊にある中等少年院、
医療刑務所そして保護観察所東京支部からの支援対象者です。
3年間で約800名以上の人たちへの職業講和、希望者への個別面談、
求人開拓、職業紹介、就職後の支援を行いました。

少年院について説明します。
毎月定期的に訪問し出院予定3か月前の少年たちに就職活動準備のための講和を約1時間行い、
その後個別相談希望者と約30分間面談しました。
既に職業講和を通じて私の人物像は相手に伝わっています。
多くの少年に出会うことが出来ました。

この少年院は約1年間少年の矯正教育を行う施設です。
16歳から20歳までの少年を担当しました。
ほとんどの少年が初期、中期、後期教育の中で大きく変化して行きます。

面談は私と少年だけ、刑務所と違い矯正施設担当者の同席はありません。
私は事前に少年の過去の情報は全く必要ないと担当者伝えていたので、
先入観なしで人と人として対話しました。

多くの少年が饒舌ではありません。だから相手が相談を始める前まで、
黙って待っていました。悲惨な境遇で育った少年、過酷な待遇から職場から逃げた少年、
ドラッグなど話を聞くと多くの場合、少年自身だけに大きな問題があるのではなく、
少年を取り巻く環境、社会に問題があることに気づきました。
人は環境の中で生きて行く為に変化します。
そしてそれが場合によっては非行につながるのです。

少年院の矯正教育は軍隊訓練と考えれば分かりやすいと思います。
規律が全てです。多くの少年が同じ話し方に矯正されています。
礼儀と挨拶を徹底的に指導されるのです。
職業講和の始まりは、「起立」「礼」「コンニチハ」と全員が一斉唱和します。
最後も同じです。だから慣れるまでは若さから来るその迫力に圧倒されました。

少年院には民間からも沢山ボランティアの人たちが来院し支援を行っています。
宗教家、各種作業支援員、心理士の人たちなどが少年一人ひとりの人生の立ち直りの地道な活動を続けています。

この貴重な経験が私が13歳のハローワーク公式サイトで回答を積極的に始めた、
一つのきっかけになったのです。

最後になりましたが、あなたに考えて欲しいことが二つあります。
その一つは、出来れば悩みを抱えながら相談する相手がいないと思い込んでいる少年(少女を含む)の良き相談相手になって欲しいこと。

もう一つは臨床心理士の資格取得後に、十分な社会経験を積んだ後で、少年たちと向き合って欲しいこと。少年は一瞬で相手を見抜きます。直観で本音か建前で話しているのか分かるのです。
だからこそあなた自身が人間的に成長することがまず一番です。
相手の心の機微がわかる様になってこの職業に本格的にチャレンジして下さい。
物事に遅すぎることなど何もありません。

何事も本気で真剣に取り組むこと。机上の知識だけでは現場では通用しません。
社会はこれからも大きく変化して行くことでしょう。
アメリカ型の考えられない様な非行や犯罪が起こるかも知れません。

あなた自身が強いハートと勇気を持つ人間に成長して下さい。