HOME > もっと教えて!フォーラム > エンターテイメントの中心「音楽・映画・ダンス・ステージ」の仕事 > 回答・コメントする(No.12593)
もっと教えて!フォーラム
回答・コメントする(No.12593)
-
いつも、子どもたちの疑問にお答えいただき誠にありがとうございます。
13hw編集部より、ご回答くださる際のポリシーに関するお願いです。
-
回答は、基本的には、その職業の方(または経験者、相応の知識を有する方など)にお願いしております。
しかしながら、なかなか回答のつかない質問もあります。
投稿されてから2週間経っても回答がつかない質問に関しましては、職業などに関係なく、ご回答のご協力をお願いしたいと考えております。 -
白書の皆様におかれましては、貴重な時間を割き、子どもたちの質問に丁寧にお答えくださったり、叱咤激励してくださって誠に感謝しております。
このようなお願いをするのは大変恐縮なのですが、勇気を出してこのサイトに質問を投稿してくれた子ども達に、よりよい情報を提供したいと考える当サイトの運営ポリシーをご理解・ご了承いただけますと幸いです。
アニメーション映画
[Q] 海外在住の高校二年生です。
私はアニメーション映画を作ることに興味があり、
現在リベラルアーツ(複数の学問を勉強できる)の海外大学を目指しています。
映画もしくはアニメーションのコースと共に心理学や考古学など他に興味のある勉強をして、アニメーション映画というメディアの勉強だけでなくメディアを通して伝えたいことつまり”内容”を充実させるために教養を深めたいと思っています。
専門学校に通わないでこのような大学を卒業した場合でも、アニメーション映画に携わる仕事に就けるものでしょうか?(今はアニメーターの仕事に一番興味があります)
アメリカ、カナダ、フランス、日本、イギリスなど、様々な国で働いてみたいので私が今考えている大学進路が一般的にアニメーション業界に入るにあたって通用するのかどうか知りたくて質問させていただきました。
詳しい方、ご回答を宜しくお願いします!><
はんがんさん、
”皺”には細かく巧みな演出が所々にあり興奮すると同時に勉強にもなりました。
なるほど、ジブリとそのような繋がりがあったのですね!
高畑監督が大絶賛するのはわかるような気がします。
おもひでぽろぽろと通じるものが”皺”にありました。(過去と現在が交錯する演出も似ていますし)
”聲の形”と”この世界の片隅に”、調べてみてどちらも物凄く観てみたくなりました笑
日本アニメの、海外作品とはまた違ったなんとも言えない切ない雰囲気が好きなので、
こういった作品が近々上映されるのがとても嬉しいです。
しかしながら、長く積み重ねたキャリアや知名度、周囲からの期待など、
多くの条件を乗り越えてやっと、というところなんですね。
なぜ”10年以上は奴隷のような生活を送る”かが納得できました。
これからもはんがんさんのコメントを参考にリサーチを進めていこうと思います。
改めて、ご回答いただき本当にありがとうございます!

こんにちは。簡単に追加のコメントを寄せます。
1.私が感心したのは、あなたが早速「皺」を観たということです。海外の方が圧倒的に評価の高い作品ですが、それでもこの作品に出会うには少々工夫がいったかもしれない(ここは想像)。こうした行動力(と好奇心)は、あなたが将来への道を歩むのに大いに役立つはずです。
2.私が「皺」でもっとも印象に残ったのは、プールのシーンです。おじいさん二人がパンツ一丁で浮かんでいるところではなくて、プールに人がいる/いないというカットで、その間に何が起こったかを示している、という演出の巧みさがいいのです。
ちなみに、あなた同様私も大好きな「雲の上の散歩」は、監督がジブリ映画へのオマージュとして敢えて挿入したシークエンスです。この作品は、日本ではスタジオジブリが配給しました(高畑監督が大絶賛)。
3.今年、日本では、あの京都アニメーションさんが「聲の形」という問題作を世に問います。もっとすごいのは、秋に「この世界の片隅に」が片渕須直+MAPPAという組み合わせ(!)で登場します。
それぞれがどんな作品かはあなた自身で調べてみてください。直接的なリベラルアーツではありませんが、単純な商業アニメのアプローチで描くのが難しいテーマであっても、チャレンジする制作者がいるのは事実です。
でも、やっぱりそれらは少数派。京アニがこうした作品に取り組むのは、普段萌え系の最先端を走る彼らにとっては大冒険のはずです。「この世界…」にしても、クラウドファンディングが驚異的な成功を収めなければ実現しなかったでしょう。こうした企画を通すには、それまでに十分な実績を上げていなければ難しい(ついでに言えば、2作品ともマンガが原作です)。
こういうあたりを読み込んでいくと、制作側の苦労や工夫などが少しずつ見えてくると思います。
※私は門外漢なので、ここの記載が正しいという保証は全くありません。あしからず。
はんがんさん、お返事が遅くなり本当に失礼いたしました!!
(一ヶ月前に返信をしたつもりでなにも投稿していなかったことに今気づきました汗)
アニメ業界への就職、やはりしっかりと技術を身につける必要があるのですね。
確かに、日本のアニメーションはエンターテイメント性に優れたものが多い一方で、
教養が深まるような、人類の奥深さを感じさせるようなものは案外少ないと私も思います。
しかしながら、例えばジブリのもののけ姫や風の谷のナウシカのように、
少数派のなかでも映画館でヒットした例もあるとも思っています。
このような作品を作るスタジオは、他の一般的な日本のアニメスタジオと制作の意向や過程が大幅に違ったりするのでしょうか?
”皺”、ご紹介ありがとうございます!
主人公が若者の作品ばかり観ている私にとって、新たな発見がたくさんあり観られて本当に良かったと思える映画でした。
特に老夫婦の回想シーンで塔の上に登って夕日を眺める場面がとっても印象深かったです。
やはりアニメーションといっても様々なジャンルがあるので、どのような映画を作りたいかをしっかり把握する必要があるのですね。今後も色々な作品に触れながら自分の考えをまとめていこうと思います。
お忙しい中の回答本当にありがとうございます!!

こんにちは。業界の外の人間ですが、参考までにコメントします。なお、日本のアニメ業界を前提にしています。
1.あなたがアニメーター(つまり、作画スタッフ)としてアニメ業界に入りたいのであれば、相応の専門学校または大学のアニメーション系統の学部で学ぶのが一番の近道、というか今のところほとんどそれしか道がありません。
アニメーターを志望する若い皆さんはたくさんおられます。あなたはその方々と同等以上に絵を描く能力があるでしょうか? まずはそこを確認してください。
2.あなたが制作スタッフとしてアニメ業界に入りたいのであれば、あなたが言う「リベラルアーツ」は選択肢の一つです。ただし有利ではありません。
日本のアニメ制作会社で、海外市場まで視野に入れた企画・制作を行っている所はごく一握りです。ついでにいえば、海外市場を意識した作品は日本国内ではあまり人気がでないこともしばしばです。じゃあ、国内市場受けする作品でリベラルアーツが役立つ場面…うーん、そんなのあったっけ(笑)。
いや、もちろんあるんですが、その視点がヒットのきっかけになったアニメ作品は、私が知る限りありません。あなたは何か例を挙げることができますか?
これからそうなるはずだ、とこの世界に飛び込むのは歓迎です。ただし、10年以上は奴隷のような生活を送ることを覚悟しましょう。
3.もっとも、海外のアニメーション市場は大きく異なります。あなたがフランスやカナダにお住まいなら特に強く感じるでしょうが、こうした国々のアニメーション作品は実に奥行きが深い。あなたが身につける教養が役に立つ場面が多いはずです。
先年、スペインで「皺(しわ)」という題名の、認知症の老人が主人公の長編劇場アニメーション映画が作られ、それが抜群の出来映えなのですが、日本ではほとんど知られていない。そもそも、そんなテーマのアニメ映画を作ろうという発想がない。それは、アニメで何を表現するか、という姿勢の違いなのです。
結局のところ、あなたがどんなアニメ作品を作りたいか、それにどのように関わりたいかで、学ぶべきことは変わってきます。この辺りをもう少し掘り下げて、当面の進路の参考にしてみましょう。