HOME > もっと教えて!フォーラム > 人と社会の幸せを考える「公務員」の仕事 > 回答・コメントする(No.1460)
もっと教えて!フォーラム
回答・コメントする(No.1460)
-
いつも、子どもたちの疑問にお答えいただき誠にありがとうございます。
13hw編集部より、ご回答くださる際のポリシーに関するお願いです。
-
回答は、基本的には、その職業の方(または経験者、相応の知識を有する方など)にお願いしております。
しかしながら、なかなか回答のつかない質問もあります。
投稿されてから2週間経っても回答がつかない質問に関しましては、職業などに関係なく、ご回答のご協力をお願いしたいと考えております。 -
白書の皆様におかれましては、貴重な時間を割き、子どもたちの質問に丁寧にお答えくださったり、叱咤激励してくださって誠に感謝しております。
このようなお願いをするのは大変恐縮なのですが、勇気を出してこのサイトに質問を投稿してくれた子ども達に、よりよい情報を提供したいと考える当サイトの運営ポリシーをご理解・ご了承いただけますと幸いです。
環境保全に関する仕事がしたい
[Q] わたしは将来、NGOや国連職員に就いて環境保全の仕事がしたいと思っているのですが、大学進学でどのような分野を目指したほうがいいですか?
環境と経済が深く関わってるものなんて知らなかったです。いま高2なので大学進学にとても参考になりました。
色々と相談ありがとうございました!

こんにちは。追加で質問をいただいたので、参考までに回答します。
地球環境をお金に換算するなんてことには抵抗を感じる方が多いと思います(私もそう思います)が、人の営みの多くはお金が絡むこと。例えば、今日の食費にも困って焼き畑に手を染める人に「それは地球に優しくない」といくら説明しても、「じゃあ、どうやって今日の飯を食べるんだ!」と問われたら、あなたはどう答えますか? 万一フィリピンでゴミの分別が徹底されると、たくさんの子供達が路頭に迷ってしまいます(文字通りのゴミの山から金属を漁って食費にする子供達が大勢います)。また、世界にはCO2を排出する権利をお金でやり取りする仕組みがありますが、これはどうでしょう? …これが全てではありませんが、経済活動と地球環境は、実はとても深い関係があります。そういう切り口から環境を学ぶ方法もある、ということを知ってもらえるといいと思います。
こういう現実的なトピックスの解決が重要であるため、NGOに限らす、環境保全という活動には世界規模での経済の動きを知っておくことが不可欠です。私の身近にはいませんが、NGO職員の中には、(環境を学んでいたかどうかはともかく)何らかの経済学の高等教育を受けた人はたくさんいます。
「環境保全に取り組むにはどの学部」ではなく、「この学問からはこういう形で環境問題にアプローチできる」という視点を持つことも、大切だと思います。
はんがんさん、書き込みありがとうございます。
環境保全といっても色々な分野があるとは知りませんでした。私は、まだどのような環境に興味があるかとか具体的なものを持ってなかったので、今後考えたいと思います!
あと、経済学部で環境に関することが学べるとは知らなかったんですが、実際に経済系からNGOなどの組織に参加する人っているんですか?

こんにちは。まず、国連職員/NGO職員になりたいというご希望と、環境保全の仕事に就きたいというご希望を区別した上で、簡単に説明してみます。
国連職員の採用選抜試験はとても難しく、基本的には修士以上の学歴と3ヶ国語を自由に操れるだけの語学力が必要です。NGOは規模も目的も様々なので、どのような基礎知識力が必要かはまちまちです。国際的に活動する著名な団体の場合、時々サイトに職員募集要綱が掲載されるようなので、チェックしてみてください。
あなたがこれらの条件を満たすとして、環境保全の仕事をするための勉強について触れてみます。
あなたが環境のどのような分野に関心をお持ちかで、大学の学部選びは大きく異なってくると思います。最近は環境という言葉そのものがトレンドなので、いろんな大学で「環境」という単語を冠した学部や学科が多いですが、その内容は千差万別です。
地球環境の変化(例えば温暖化・オゾンホール)を考えたい場合、一昔前なら地球物理学や気象学に講座がありました。今でも理学系の学部で講座を探したほうが、専門知識の習得には有利なはずです。
人の生活による環境変化を考えたい場合は、大学によって様々な学部に講座があります。私は経済学部でこの分野を学びました(「経済地理」の講座を履修して、卒業論文はサヘル地帯の砂漠化の人為的要因に関するものでした)。工業が絡む問題なら経済系、農業や放牧なら経済あるいは農学系、といった感じで、各系統ごとに得意な分野があります。全体を概観したいなら、人文地理で地球環境を扱う講座があればお勧めですが、それぞれの現象の専門的な分析は学べません。
生態系や生命の多様性に興味があるのなら、植物・動物に関する学部に必ずそういう講座がありますので、お好みで選べばいいと思います。また、土壌について学ぶのも、この分野の基礎学力として有力です。
…こんな感じで、一口に環境保全といっても、その内容にはかなりの幅があります。この文章では触れていない分野もたくさんありますので、まずはあなたが、環境に関するどんなトピックスに関心があるかを、じっくり考えてみてください。あと、環境問題を学ぶなら、理系・文系にかかわらず一般的な知識として数学の素養は必須です=データの解析や将来予測には欠かせない=ので、仮に苦手だったとしても、きちんと勉強してください(大の苦手だった私は相当苦労しました)。