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回答・コメントする(No.4446)
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戦争の風化を阻止できるような仕事につきたい
[Q] はじめまして。ナツミといいます。
私は広島県に住んでいるのですが、みなさんご存知のとおり、広島は世界で初めての被爆地です。
そのため、原爆投下をはじめとして、戦争のことは多く学んできたつもりです。
今、被爆者の高齢化がすすんできており、戦争のことをリアルに伝えることができる人は激減しています。
これに伴う「風化」が心配されていることは、よく知られたことと思います。
私は、戦争のかなしさを体験者から直接聞いたことが何度もあり、「風化」は絶対に止めたいと考えています。
ここで質問です。
戦争のことを全国あるいは全世界に発信できるような職業はあうのでしょうか。
教師やマスコミ関係などを考えてみたのですが、いかがでしょうか。
よかったら回答よろしくお願いします。

このスレッドについてはいったん議論が終わっていますが、回答者として内容について若干補足した方がいいと感じますので、再度コメントを寄せることにします(需要があるとはとても思えませんが)。ナツミさんは当欄にあえて返答する必要はありません。
1.わざわざこのフォーラムに「戦争の風化を阻止できるような仕事につきたい」と質問するだけでも、この質問者の方はとてもすばらしい。本来であれば、無条件で「ぜひがんばりましょう」というのが、回答者としてあるべき姿かもしれません。でも、筆者はそうしませんでした。
私達は戦争って何? と聞かれると、おぼろげながらでも何かしら答えることができる。でも、平和って何? と聞かれて、それをきちんと答えられる人は、今の日本にどのぐらいいるでしょう。私だってそんなに自信があるわけじゃない。
平和という概念は、人によってまちまちです。ある人にとってはこの上なく「平和」な世の中であっても、他の人には地獄よりなお辛い社会だ、なんてことは、悲しいかな、今でも世界中のあちこちに存在しています。
戦争や平和に関することを仕事にするということは、この矛盾と向き合うということです。これは理想論だけではとても整理がつかない。それと向き合うだけの覚悟がないと、厳しい現実の中で夢破れるだけに終わるかもしれない。では、どうすればいいの? そういうことを、このスレッドを読んでくれる人に考えていただきたかった。
2.原爆の被害者の方々は高齢化が進み、いわゆる被爆者(支援)団体も構成者の減少が進み、どんどん活動を縮小あるいは休止している現状があります。この方々の体験と思いを世代を超えて受け継いでいくことは、おそらく人類全体にとって極めて重要なことでしょう(だから原爆ドームは世界遺産になったのです)。その活動を「風化を防ぐ」と表現すること自体は、間違いではないでしょう。
一方で、なぜ日本に原爆が落とされたのか、ということについては、日本人全体はあまり関心を払ってこなかったように感じます。このため、日本の平和への思いは今でもなかなか外国には伝わらないと、個人的には考えます。
この種の議論はこのサイトのテーマを外れるので深入りしませんが、例えば「日本を降伏させるには原爆投下は必要だった」と考えている人々に、私達はヒロシマやナガサキのことをどう伝えればいいのでしょう。それは「風化」ではない、もっと別の次元のことだと思います。
3.昨日(8月8日)は、北京で平和の祭典・オリンピックが開会しました。同じ日、グルジアが南オセチアに侵攻し、(南オセチアを支援する)ロシアがその戦闘に介入しました。グルジアがこの日に侵攻したのは決して偶然ではありません。
あなたはこの戦闘をどう考えますか? 悪いのは、攻め込んだグルジアか、グルジアから強引に独立しようとする南オセチアか、それとも彼らを支援するロシアか。いや、もっと違う見方もあるでしょう。
この問いに正解なんてありません。ただ分かることは、たった1日の戦闘で数千人の死傷者が出たということ。あんな狭い地域での戦闘で、1日で軍隊に千人を超える死者が出ることはまずあり得ない。ということは、亡くなった方の大半は私達と同じ、ごく普通の市民だということです。正義がなんであろうとも、ひとたび戦争が始まると、犠牲になるのは常に弱い立場にある人たちです。これは原爆だろうが普通の陸上戦だろうが、変わりありません。
戦争や平和について行動するということは、こうした厳しい現実と向き合わないといけません。
4.たとえそこまでできなくても、あなた自身が戦争や平和について関心を持ち、考えるという姿勢はとても大切です。世の中は理不尽なことだらけかもしれませんが、私達には、何が大切なのかと考えることができる。そういう思いを持つだけでも、まずは十分だと思います。
その中で、私と違う考えになってもまったくかまわない。そもそも、私がここに書いたことが正しいなんて保証はどこにもありません。あなたと私の考えのどこが違い、どこが同じかを知ることが、あなたがこのテーマを職業にと志す時、最初のイッポになると願っています。
はんがんさん、丁寧なご回答ありがとうございます!
自分の考えの足らなさを痛感しました。
確かに単に「風化」と言うべきではありませんでした。
現在争いの中でくらす人々にとっては、風化どころか、鮮明なものですよね。
この勘違いこそまさに、わたし自身の戦争に関する関心の低さをあらわしていると反省しました。
また、ほか多くの助言をしていただきとても参考になりました。
とくにボランティア活動への参加という選択肢にとても興味をもちましたので、調べてみようと思います。
本当にありがとうございました!

こんにちは。ご質問の趣旨はとても崇高な理念にかかわるお話なのですが、可能性全てを網羅した回答は、おそらく誰にもできないと思います。その前提で以下のコメントを読んでください。
1.のっけから申し訳ないのですが、あなたは一つ大きな勘違いをしています。あなたにとっては戦争は「風化させてはならない」出来事かもしれませんが、今この瞬間にも、世界には私が知っているだけで21の地域で戦争/紛争が起こっています(3分間まじめに考えてみました)。実際は、たぶんこの倍、いや3倍はあるんでしょう。風化なんてとんでもない。
もちろん、原爆の悲惨さ・愚かさを後世に正しく伝えるという努力は、極めて大切なことです。だけど、戦争とは、いつでもどこでも誰にでも、悲惨で愚かな出来事なのです。
おそらくあなたは軽い気持ちで「風化」という言葉を使ったんだと思います。でも、戦争についてあなたが真剣に考えるなら、どんな時でも言葉をよく選ばないといけない。そのことをよく意識しましょう。
2.今あなたが思いついていることについて。あなたが原爆に関する活動に関わりたいなら、土地柄広島県や広島市の公務員として働くことでも、希望を叶えることはできるでしょう。もっと大きな分野に取り組みたいなら、マスコミも有力な選択肢です。
ただし、本当の専門職でない限り、あなたが希望する職場に就いても、数年で次の職場に異動させられることは留意する必要があります。フリージャーナリストで活躍するという手もありますが、ネーミングのかっこよさほどには中身が伴わないことが多いようです(もちろん、中にはすばらしい活躍を見せる方もおられます)。
戦争問題に関わるNGOなどに参加するのも、いい選択でしょう。もっとも、こうした団体の多くはボランティアとしての参加なので、職業=生活の手段としては、よく考える必要があるでしょう。あなたが成人する頃には、専属の職員として働く場所がもう少し増えているかもしれません。
3.戦争に関する情報を発信するというだけなら、インターネットを使うことで個人ベースでいくらでもできてしまいます。実際、いくつかの紛争地域では、現地の市民による報告がなされていて、1日何十万ものアクセスのあるサイトやブログも存在しています。あなたにだって才覚があれば、戦争(の風化)をテーマにメジャーなサイトを作ることも可能です。
でも、実際には世界中の99.999%以上のサイトはほとんど誰の目にも触れることはなく、ひっそりと運営されているだけです。その中には当然戦争に関して真摯に語られたサイトもたくさんあるでしょう。どうして?
あなたが危惧する風化という問題は、例えばこうした事柄と密接に関係しています(ただし、この例えは問題のごく一部しかとらえていないことに注意しましょう)。かなり難しいとは思いますが、上の設問をよく考えてみてください。あなたの考えがまとまったら、それをどうすれば改善できるか、もう一度よく考えてみてください。
そこで見つかるあなた自身の答えが、あなたの夢を叶えるための大切なヒントになるはずです。