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もっと教えて!フォーラム
回答・コメントする(No.5195)

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もっと教えて!フォーラム 質問 生物学者について、幾つか質問を。

[Q] 僕は生物学が好きで、一生生物の研究が出来る様な仕事に就きたいと思っています。今、学校で「職業調べ」を行っています。そこで、生物学者について幾つか質問させてください。
(1)生物学者は、主にどこで働いていますか?
(2)ノーベル生理学・医学賞をとると、お金はどこから幾ら位貰えますか?
(3)生物学者の、主な収入源は何ですか?
(4)他の仕事をしながらも出来る余裕はありますか?

[A.2]

一問一問丁寧にご回答頂き、ありがとうございます!まさに僕が知りたがっていたことについて全て教えて下さったので、職業調べの新聞作りはうまくいきそうです。今後も生物学のことを学び、夢を現実に近付けていきたいと思います!お忙しい中、ご回答本当にありがとうございました。


[A.1]

デイフライさん、こんにちは。
通りすがりの学芸員です。
回答が無いようなので、コメントします。

まずデイフライさんの質問への回答です。
(1)生物学者は主にどこで働いているか?
これは間違いなく大学です。生物学や農学・水産学などを中心とした理系のほか、教育学部など関連講座のある文系の学部でも「生物学者」が働いています。また国や県などの公共団体が設置する試験場などの研究機関や、独立行政法人などの研究機関にも生物学者は勤務しています。このほかにもバイオテクノロジー関係の民間企業でも生物学者は働いています。
(2)ノーベル賞をとると、どこから、いくらのお金がもらえるか?
ノーベル財団というところから1000万クローナの賞金がもらえます。1クローナがだいたい10円なので、総額で1億円程度です。受賞者が複数いるときは研究に対する貢献の程度によって分割されます。
(3)生物学者の、主な収入源は何か?
(1)で列挙したような所に勤務している場合は、そこからの給料が主たる
収入です。そのほかに本を出版したり雑誌などに記事を書いたときにもらう原稿料や、依頼に応じて講演をした場合の講演料などが副収入として考えられます。
(4)他の仕事をしながらでも出来る余裕はあるか?
これは本人の努力と周囲の環境次第といって良いでしょう。(1)の生物学者はいわゆる「プロフェッショナル」な生物学者であって、世の中には「アマチュア」と呼ばれる人々がいます。この違いは、ある固有の知識や技術をもとに収入を得ているかどうか、だと考えて良いでしょう。スポーツの世界を考えるとよく分かると思います。生物学の世界も例外ではなく、アマチュアの生物学者がいます。
大学間の競争が激しい現在では、いかに重要な研究を行うか、その成果によってどれだけ多くの資金を獲得するか、ということが重視される傾向にあります。多くの学生や有能な研究者を獲得する為には、つねに注目される研究成果を挙げ続けなければなりません。その結果、必然的に応用的な研究が重視され、利益に直結しない分類学などの基礎研究は軽視されてしまいます。
しかしこういった領域で、市井の生物学者が重要な役割を果たしていることは、実はあまり知られていません。たとえば国内で絶滅のおそれのある生物種の分布状況の調査を行う際には、プロの力だけでは調べることができず、各地のアマチュアの力を借りて調査しています。
これらの調査に協力するかたの立場は様々です。試しに私の知り合いの職業を挙げてみますが、小中学校や高校の教員、会社員、警察官、医者、検査技師など公務員に近い立場の人々もいれば、サラリーマンや建築士、農家、自営業、主婦など、まったく生物と関係ない職業の方が多いことがわかると思います。

大学では学生の指導という大事な役割があります。一方、個人で研究する場合にはそういった役割はありませんが、何か他の生業で生活しなければなりません。つまりどちらの立場で研究しても全ての時間を研究に注げるわけではないということは共通です。
大学では最新の分析機器などを利用したり、海外で調査を行ったりするなど大掛かりな研究ができますが、
その分たくさんのお金を使うので成果と言う大きな責任が伴います。一方、個人で研究する場合には成果と言う責任はありませんが、大掛かりな研究は難しいでしょう。
しかし短期間での成果を求められないということは、長い年月をかけて地道な成果を積み重ねるような研究ができる利点があるとも考えられます。つまり、それぞれの立場で出来る研究内容におのずと違いが生じるということです。

現在の日本では、国が大学院生を増やし博士をたくさん生み出した一方で、研究者としての就職先を減らしてしまいました。その結果、博士号を持っていても2〜3年で新しい勤務先を探さなければならない、
そのうちにも研究成果を上げなければならす、なかなか安定した職につけない、といった現象が起きています。また大学から修士・博士と進みそのまま研究者になってしまうと、社会の空気とかけ離れたままで、
大学のポストをあきらめて企業で働こうとしても敬遠されるというようなこともあります。
個人的な印象ですが、大学院の修士課程あたりで一度社会に出て、バランス感覚を養うこともこれからの研究者には必要かもしれません。