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回答・コメントする(No.9409)

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もっと教えて!フォーラム 質問 インフルエンザワクチンの研究開発について

[Q] こんにちは。
「いろは。」と言う者です。
私は現在、中高一貫校に通う中3です。
高校は、このまま上がり、理系にすすむつもりです。

私は化学と物理が好きで、将来は研究職に就きたいと考えています。
今興味があるのは、新薬の研究開発で、特にインフルエンザのワクチンに興味があります。
そこで色々調べてみたのですが、具体的にどのくらいのレベルの大学・大学院に行ってどういう勉強をすればいいのかよくわかりません。
しかも私は生物が苦手(血が駄目)という致命的な弱点があり、
通う予定の高校も理系は弱く、上位数名がMARCHにいくのがやっと、というところ。
かといって今更外部を受ける気はないんです。

こんな私では、ワクチンの研究開発など無理でしょうか?
そもそも、向いてないのでしょうか??

[A.2]

はんがんさんの仰るとおり,とにかくチャレンジする心を忘れずにいることが大事ですよね.新薬の開発というのは,試行錯誤の連続です.今から尻込みせずに,どんどん勉強して,いいワクチンを開発して下さい.そうすれば,私のような新年早々インフルエンザに罹って1週間寝込んでいた者が沢山救われます(苦笑).

ですから,「どのくらいのレベル」というのを今から規定しちゃダメです.「出来るだけ高レベル」というのが望ましく,事実研究の第一線で働いている人たちは学歴もそれなりに一流であると思います.もっとも,受験勉強は世の中で最も簡単な作業の一つですから(どんな人でも勉強しさえすればそれなりのレベルに到達できます),今から悩むことはありません.重ねて申し上げますが,どんどん勉強しましょう!

生物が苦手,とか血液がダメ,という方でも,例えばコンピュータを使った遺伝子やタンパク質の解析などの研究があります.実験室で試薬を混ぜたり試験管を振るような事(水仕事)をしないので,ドライラボ(Dry Laboratory)での研究,なんて言ったりします.バイオインフォマティクス(Bioinformatics)という言葉を調べてみて下さい.

ちなみにインフルエンザワクチンの製造法ですが,(恐らくはんがんさんは既にご存じと思いますが)従来行われてきた卵からの製造法は,生産効率が悪かったり,効き目が不揃いだったり,卵アレルギーの方への投与は難しかったりといった問題があるため,今後は培養細胞(例えば犬の腎臓から作成されたMDCK細胞)を使ったワクチン合成が盛んになってくると思われます.こういったテクノロジーが発達してきたのは,先達が細胞生物学・分子生物学などの分野で得られた知見を元にいろいろな創意工夫を行ってきたからです.ここら辺の勉強をすると,その学問の魅力の虜になるかも?

血液がイヤ,生き物嫌いなどと仰らず,興味と知的好奇心の翼を色々なところに向けてみて下さい.あなたのこれからのキャリアの肥やしにこそなれ,無駄にはならないでしょうから.頑張って下さいね.


[A.1]

こんにちは。あなたの希望する仕事は全く関係ないのですが、個人的な経験の範囲で簡単にコメントしますので、適当に参考にしてください。

もし、あなたが「万能な」インフルエンザワクチンを開発できたら、ノーベル賞をもらってもおかしくないぐらい、すごい成果になるはずです。インフルエンザウィルスにはいくつかの特性があって、今のところインフルエンザウィルスは事実上毎年作り直ししないといけません。
ところで、あなたはインフルエンザワクチンの量産がどうやって行われているかご存知ですか? ごく簡単に紹介すると、ニワトリの卵を用いています。しかも「有精卵」…つまり、生きている卵を用います。それがどういうことなのか、ちょっと考えたり、調べたりしてみてください。その結果にあなたが耐えられないのであれば、確かに今のあなたには、このお仕事はちょっと向いていないかもしれません。
ただし、人間にはすごい才能があって、どんなに無理だと思っていたことでも、いつの間にか平気になっていること「も」あります。
私の大学の友人(女性)は、教育学部を卒業後、いろんな縁があって、大脳生理学の研究をてがけることになりました。研究にはマウスを用いるらしいのですが、研究を進めるにはその脳の標本が必要です。つまり、マウスを処理する(殺す)必要があります。この作業は、もちろん彼女自身が行わないといけません。
その研究を始める前、彼女は「まだメスを持ったこともないし、マウスの持ち方も分からないので、果たしてできるのか不安」と言っていました。1年後あったとき、彼女は「今では1日100匹は処理できるわ。マウスを楽に殺すのがプライドね」なんて話をさらりと話してくれました。
あなたもこのようになるのかどうかは、私には分からないけど、ダメと考える前にまずはチャレンジしようと考えることは、大切なことだと思います。

ワクチンの研究者になるには、医学または生理学の勉強を修めることが欠かせません。公の機関や民間企業で研究者として働くのが、一般的だと思います。さすがに簡単になれますというものではありませんが、あなたに相応の学力があって、しっかり勉強すれば、チャンスは十分にあります。あなたが自分の進路を決めるには、まだしばらく時間がありますから、じっくり考えてみてください。