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回答・コメントする(No.9788)

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もっと教えて!フォーラム 質問 発展途上国に対する日本の意識を変える仕事って?

[Q] はじめまして。私は総合学科に通っている高校3年生です。
私は異文化理解という授業を通して、フェアトレードについて初めて知り、発展途上国への意識ががらりと変わりました。
今までは、私ができる国際貢献はコンビニの募金くらいで、学歴高い国際公務員のような頭の良い人たちがするもの、NGOや青年海外協力隊のように現地へ赴き、きついボランティア活動をするものだというイメージでした。
でも違いました。いつも口にするチョコレートを、フェアトレードのチョコレートにするだけで、児童労働を強いられている子供たちや、仕事のない大人たちを救うことができると知りました。
そして、日本におけるフェアトレードの認知度が他の先進国に比べて極めて低いことも知りました。

私が通っている高校は進学校ではないし、専門的な知識を身につけ、現地へボランティアへ赴くのも何だかしっくりこないのです(それを仕事にするという意味でです。もちろん、現地でのボランティアは経験したいと思っています)。
私がしたいことは、多くの日本人の発展途上国への意識を変えることです。

ですが、それを仕事にするためには、教師になるか、フェアトレード商品の販売に携わるか、そのくらいしか浮かびません。
他にはなにかないでしょうか?
自分ではうまく調べることができなかったので質問してみました。
よろしくお願いします。

[A.2]

はんがんさん、丁寧なご回答ありがとうございます。
確かに私にはまだ見えている世界が狭く、発展途上国への知識や理解もまだまだ浅いです。
そんな私が「発展途上国に対する日本の意識を変える仕事」にこだわっているのは、学校の授業で実際にフェアトレード商品の販売をしている方の講演を聴き、胸をうたれたから。それだけです。
ですので、今回はんがんさんにご回答をいただいて、初めて知ったこともたくさんありました。
もっと知識と理解を深め、世界を広げたいという思いから、大学には進学するつもりだったのですが、どうしても気持ちが先走ってしまい、就職のことで頭がいっぱいになってしまっていました。
今決めるべきことは、私に適当な大学ですね。志望校は一応決まっていましたが、もう一度何を研究したいのか、その大学は自分にあっているのかを見直してみようと思います。
アドバイスをいただけて本当に助かりました。ありがとうございました。


[A.1]

こんにちは。あなたにとって「多くの日本人が持つ発展途上国に対する意識」とはどのようなものでしょうか。それは正しいのか、誤っているのか。それをどうやって判断しますか?

ものすごく現実的な話をして恐縮ですが、欧米でフェアトレードという概念が広まったのは、かつて自分たちの国があなたが発展途上国と呼ぶ地域を植民地として支配していた事と、決して無縁ではありません。確かにフェアトレードは対象となる現地の職場で働く人を(多少)豊かにしてはくれますが、それもしょせんはかつての植民地経済の仕組みを、現在の市場経済の中で多少公平なルールに変更しただけであって、現地社会の根本的な変革にはほど遠いのです。少し専門的な話をすると、例えば、自給農業と商業農業の経済的バランスの歪みについて、フェアトレードはあまり機能していません。
それでも、何もしないよりははるかにすばらしい。だからフェアトレードはここ10年あまりの間に徐々に活躍の場を広げてきました。こうした取り組みはもっと拡大されるべきでしょう。ただ、この活動が開発登場国の様々な問題のごく一部をとらまえているという事実を理解しておく事は、重要でしょう。
例えば、別の取り組みとしてODAという政府による援助の仕組みがあります。これは現地の役に立っているのでしょうか? 今回の大震災を受けて、日本の国内にはODAをもっと減らすべきだ(→被災地域の復興にお金を回すべきだ)という意見が増えていますが、それが正しいかどうか、どうやって判断すればいいのでしょう?

…たぶん、あなたが学んだ中にはこうした情報は含まれていないと思います(ここまで踏み込んだ内容だったら、実にすばらしい! ただし、高校生には少し荷が重いかもしれません)。私は、ここで申し上げた事が絶対に正しいというつもりは毛頭ありません。これも一つの見方だよ、という事を示したいのです。
おそらく、あなたはあなたなりの正義感を持って、今の社会を変えなくてはと感じてくれていると思います。それはとても嬉しいし、その思いは大切に持っていてほしい。ただ、少なくとも私の場所から見ると、あなたが今知っている世界は、実際に起こっている事に比べると小さいように感じられます。
今のあなたに見える世界が、世界の正しい姿とは限らない事を、あなたには理解してほしい。これはもちろん、私自身も同じなのですが。
あなたが見える世界を、より広く、より深く知るために、あなたにはぜひこの先も学んでいただきたい。その中であなたの正義感が育まれるなら、おそらくその時のあなたには適当な職業が見えていると思います。