中学校・高校教師


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中学・高校の教師は教科担任制で、教員資格も教科別になっている。そのため、教育学部でなくても、専門科目と教職の単位を修得すれば資格を取ることができる。教師になるには、公立の場合、各都道府県の教員採用試験に合格して採用を待つ。次年度の生徒数や退職教師の数が確定するまで待機が続き、欠員が生じて採用が決まる。少子化が強まるなか、教員採用数は激減しており、競争率は中学で40、50倍、高校で100倍を超すといわれている。30人学級が行われるなど大きな教育改革がないかぎり、厳しい状態が続くと見込まれる。私立の場合は小学校教師と同じく、各校独自の採用が行われる。一部の都県で私学協会の教員適性検査が実施されており、参考にされている。面接では、担当科目への愛着の強さが好感を呼ぶようだ。大学教授や卒業生に推薦や紹介をしてもらう場合も多い。近年は、公立、私立ともに、社会人の対象枠を拡大したり、スポーツや芸術分野で優れた人を採用するなど、個性豊かな資質を持った人を採用する傾向が強まっている。教育現場が荒廃するなかで、生徒との信頼関係を築く豊かな人間性が求められる。

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中学教師
国立・公立・私立のいずれかの中学校に勤め、中学生に対して義務教育で定められた科目を教える教師。小学校教師とは異なり、中学校教師は自分の専門とする特定の教科(国語、社会、数学、理科、美術、保健体育、技術・家庭、英語など)を担当する。学習指導要綱などに従ってまとめた授業計画に基づき、教科書を主な教材として授業を進めていくが、生徒の関心と理解を高めるために、プリントやスライドなどの補助教材の準備も必要だ。また、授業以外にも、生徒指導や進路指導、クラブ活動、学校行事、PTA活動なども教師同士で分担して受け持つ。12歳から15歳という思春期にある中学生は、心身ともに大きく変化する時期だけに、精神面の指導も大切だ。たとえば不登校やいじめなどのデリケートな問題に対ししては、教師、保護者、地域の人々、関係機関などが協力して取り組むことも重要となる。義務教育の仕上げの3年間を任される中学校教師は、生徒に必要な知識を身につけさせるとともに、一人ひとりの個性や可能性を伸ばすための指導力も求められる職業である。

高校教師
高等学校に勤め、自分の専門とする特定の教科について教育や指導を行う教師。高等学校には、「普通学科」「専門学科」「総合学科」の3種類があり、運営形態も国立・公立・私立がある。また、朝から夕方にかけて授業を行う「全日制高校」、働きながら学ぶ生徒のために夜間に授業を行う「定時制高校」、さらに「通信制高校」などもあり、ひと言で高校教師といっても、勤務先はさまざまである。教える教科も学校によってさまざまだが、国語や数学などの普通教科の授業はどの高等学校でも行っており、それらの普通教科を中心に教育するのが「普通学科」である。一方、農業・工業・商業・水産・看護・理数・体育・音楽・美術などの専門教科を中心に教育するのは「専門学科」、生徒が選択する科目を生徒自身の学習計画に則って教育するのは「総合学科」である。高校教師は、小・中学校教師に比べると担当する授業数は少ないが、より専門的な教育をする必要があるため、準備には多くの時間を必要とする。また、授業以外にも、学級担任として学級指導や、生活指導や進路指導、クラブ活動の指導にあたることもある。さらに、精神面での指導や助言を行う熱意も求められる。

2004年度時点の中学校教員数は24万9794人。同時期の中学校の生徒数は366万3513人なので生徒14.7人に対して先生1人という割合。ちなみに、中学校教員の男女比は5.9対4.1で、男の先生の方がやや多い。一方、高校教員の数は25万5605人。生徒数は371万9048人なので生徒約14.5人に対して1人の割合。男女比は、7.3対2.7で、男の先生の方がかなり多い。(※1)

※1『文部科学白書2004』文部科学省より

公立中学校の場合、市区町村の指定に従って給料が支払われる。東京都の場合、初任給は大卒で19万5600円、短大卒で17万8100円となっている(平成24年度)。私立中学校の給料は各学校ごとに決められており、地域や学校の規模によって異なるが、公立中学校と同じくらいの収入は得られる。

◆高校教諭(大卒)の平均初任給は月額21万8170円※1
◆高校教員の平均給与額は、平均年齢43.4歳で44万5000円。※2
◆中学校教師の平均年収は、公立で約746万円、私立で約857万円。(※3)
◆高校教師の平均年収は、公立で約761万円、私立で約873万円。(※3)

※1『平成16年 職種別民間給与実態調査』人事院
※2『賃金構造基本統計調査 平成16年』厚生労働省
※3『週刊ダイヤモンド(2005年11月5日号)』ダイヤモンド社よりp37

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「先生は夏休みが長くていいなぁ」という声も聞こえてきますが、夏季や冬季など学校の長期休業中、教員もずっと休んでいるわけではありません。校内外での研修や研究会、会議などへの出席、課外授業、教材研究などやることは意外と多くあります。部活動の熱心な指導者などは多忙を極める場合も。

「中学校・高校教師」に関連する本・DVDなど。

DVD「プロフェッショナル 仕事の流儀 中学英語教師 田尻悟郎の仕事 楽しんで学べ 傷ついて育て
書籍「教師になる前に」(吉田泰久著/文芸社/2002年)
書籍「教育ルネサンス 教師力」(読売新聞教育取材班/中央公論新社/2006年)

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