バリスタ


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イタリアには、バール(bar:イタリア語)というお店を街のあちらこちらで見かける。日中はエスプレッソを中心に出し、夜になると酒類を提供。日本でいうカフェとバーを合わせたような形態のお店である。
バリスタ(barista)とは、バール(bar)と、「給仕(きゅうじ)をする人」という意味の”~ista”からなるイタリア語で、バールで働く人のことをいう。狭義では、エスプレッソマシンを使ってエスプレッソやカプチーノを淹(い)れる人で、広義では、コーヒーからお酒まで幅広い知識と技術を備え、お客様と談笑もし、くつろぎのひとときを演出する接客のプロである。
一方、日本では、接客のプロであることは変わらないものの、エスプレッソマシンの使用に限らず、コーヒーを淹れる人=バリスタと思っている人も多くいる。その理由は、イタリアではコーヒーといえばエスプレッソが一般的だが、日本では、ドリップ、サイフォン、エスプレッソなど、お店によって淹れ方がさまざまということが背景にある。

一つは、コーヒーに関する知識と技術を磨き、自分だけの味を追求できること。自分が創り出した味をお客様が評価してくれて、その味を求めて来店してくれることができれば、バリスタ冥利に尽きるだろう。
もう一つは、接客のプロとして、コーヒーを軸に、店舗の内装から使う食器類、食事のメニューまで、トータルなサービスを作り上げ、お客様に楽しんでもらえること。その空間で心地よいひと時を過ごすためにお店を訪れる常連さんが増えれば、この仕事に大きな喜びを感じるはずだ。

バリスタはエスプレッソを淹れる人を指すので、その歴史はエスプレッソの歴史と重なり、今から約100年前まで遡(さかのぼ)る。
当時、少しでも早くコーヒーを淹れる方法として、1901年にルイジ・ベゼラ氏によって開発された。その後、この特許をデジデリオ・パボーニ氏が買い取り、1906年のミラノ万国博覧会に「ベゼラ」という名前で出品したのが、エスプレッソの起源といわれている。
現在、主流となっている電気式のエスプレッソマシンは、1961年にエルネスト・バレンテによって開発された。日本では、1990年代半ばに、セルフスタイルのシアトル系コーヒーショップがチェーン展開され、若いビジネスマンを中心に人気を博したことから、エスプレッソドリンクが一気に浸透。同時に、かっこいい職種の一つとして、バリスタがクローズアップされるようになった。
ちなみに、エスプレッソは英語のエクスプレスと同義で、イタリア語の鉄道用語「急行」を指す。
資料:ウィキペディア エスプレッソより

総務庁統計局「事業所統計報告」「平成18年度事業所・企業統計調査」によると、全国の喫茶店数は81,062店、従業者数は322,450人(男107,502人、女214,878人)となっている。その中で、セルフスタイルカフェの店舗数は、2010年3月時点で3,000数百店(モーニングスター株式会社調べ)を数える。
セルフスタイルカフェでコーヒーを淹れる人のことをバリスタと呼ぶケースが多いことから、バリスタの数は3,000数百人以上いる。

まず、喫茶店やカフェで働きながら経験を積み、バリスタになる方法がある。そしてもう一つ、専門学校やスクールで学ぶ方法がある。
前者の場合は、知識、技術、接客、店舗運営など、カフェにかかわるすべてを同時並行して学ぶことができる。ただ、そのスキルは、良くも悪くも、指導してくれる人によるので、お客としてお店に運んだり、アルバイトしたりして、理想のバリスタに近づくためのスキルを身に付けられるか事前にチェックするのがいいだろう。
一方、後者の場合は、知識や技術を体系立て、現場では教えてもらえないことまで広く深く学ぶことができる。その上で、現場で経験を積み、質の高いサービスを身に付ければ、一流のバリスタになるのも夢ではない。

コーヒー豆の産地や味の特徴、焙煎技術、エスプレッソ、カプチーノの淹れ方、さらに機器類の使い方、メンテナンスのやり方などを身に付けておく必要がある。コーヒーを知る上では、ハンドドリップやサイフォンなど、他の淹れ方も習得すれば、視野が広がるだろう。
軽食の作り方や、コーヒーとスイーツの組み合わせについても知っておくと、サービスも充実する。アルコールも扱うお店に勤めるのであれば、アルコールの知識も要求されるだろう。また、お客様に気持ち良く過ごしていただくための接客方法を身に付けるのは、コーヒーの知識・技術と同じくらい大事である。
将来、独立開業を目指すのであれば、事業計画を練り、どのようなお店づくりをするか情報収集することも必要だ。理想を追求すればするほどやることも増えるが、その分、大きなやりがいを感じるはず。

就職先としては、カフェをはじめ、ホテルやレストラン、パティスリーなど、直接お客様にサービスを提供する場がある。また、飲料メーカーの開発部や、コーヒー豆を輸入している商社などで、活躍することもできる。
お客様の笑顔を見ることに喜びを感じるのか、あるいはコーヒーを極めて自分の味を追求したいのか。将来、自分がどのようになりたいのかをじっくりと考えて、進む方向を決めたい。

この資格を取得しなければバリスタを名乗れないという資格や免許は、特にない。

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